雑損控除
— 災害・盗難・横領で税金が戻る制度、知らずに損している人が多い
2026年3月31日
この記事でわかること
- ✓雑損控除は台風・地震・火災・盗難・横領による損失を所得控除にできる制度
- ✓詐欺・恐喝は対象外。「災害・盗難・横領」の3種類のみ
- ✓控除しきれなかった損失は翌年から3年間繰り越せる(繰越控除)
- ✓年末調整では適用不可。確定申告が必須
台風で家が浸水した、空き巣に入られた、そういった被害を受けたとき、 所得控除として税金が戻る制度が「雑損控除」だ。
利用率が低い理由は単純で、「この制度を知らない」か「申告を面倒と感じて先送りにする」からだ。 被害額が数十万円以上になる場合、控除額も同等になりうる。
対象範囲・計算式・申告手順を整理する。
雑損控除の対象となる損失
| 区分 | 対象の例 |
|---|---|
| 災害 | 台風・豪雨・洪水・地震・火災・落雷・雪害など自然災害による財産損失 |
| 盗難 | 空き巣・ひったくり・スリなどによる現金・貴金属・家財の盗難 |
| 横領 | 従業員・業者による横領被害 |
対象外の損失
- ✕詐欺(振り込め詐欺・投資詐欺を含む)
- ✕恐喝・脅迫による財産の引き渡し
- ✕損失の原因が事業上の問題によるもの(事業用資産は別途処理)
- ✕自己都合による損失(紛失・誤操作・破損など)
- ✕土地以外の不動産(建物に付随しない土地のみの損失は対象外のケースあり)
控除額の計算式
以下の2つの計算方法のうち、有利なほうを選んで申告できる。
方法1:(損失額 − 保険金等補填額) − 総所得金額等 × 10%
損失額から保険金・見舞金などを引いた後、総所得の10%を超えた部分が控除対象
方法2:(損失額 − 保険金等補填額) − 5万円
損害が5万円を超えた部分が控除対象(特定の損害が少額の場合に有利になることがある)
計算例:年収500万円(総所得400万円)・台風被害200万円・保険金50万円
→ 方法2のほうが有利。145万円が所得控除になり、税率20%なら約29万円の税負担軽減。当年で控除しきれない場合は翌年以降3年間繰越可能。
申告手順
被害額を記録する
修理費の領収書・見積書・写真・警察への届出番号(盗難の場合)。被害直後に証拠を残しておくことが重要。後からの証明は困難。
保険金・見舞金の受取額を確認
火災保険・地震保険・共済などで受け取った補填額は、損失額から差し引いて計算する。
確定申告で控除を申告
年末調整では適用不可。必ず確定申告が必要。控除しきれなかった損失は翌年以降3年間繰越可能(繰越控除)。
e-Tax または郵送・窓口で申告
e-Tax(国税庁のオンライン申告システム)から申告書を作成できる。「雑損控除」の欄に被害内容・損失額を入力する。
申告を忘れた・後から気づいた場合
被害を受けた年に申告しなかった場合でも、5年以内であれば「更正の請求」で申告できる。税務署に更正の請求書を提出することで、過去に払いすぎた税金の還付を受けられる。
ただし繰越控除(翌年以降3年間の控除)については、最初の年に申告していないと繰越ができないケースがある。 被害を受けた年のうちに確定申告するのが原則。
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