スマホ「月1円・24回払い」の仕組み
— 残価設定型ローンと返却プログラムの構造
2026年3月31日
この記事でわかること
- ✓月1円の正体は48回払い+返却免除。2年後に端末を返す前提で残り24回が免除される
- ✓通信料は別途6,600円/月前後。2年間の総支払いは約158,400円
- ✓2024年12月規制改正で「返却だけ」は最大22,000円の利用料が発生。機種変更同時なら無料
携帯ショップの店頭で「iPhone 16が月1円!」と書かれていても、支払いが本当に月1円で済むわけではない。 通信料が別にかかるのはもちろん、端末代の残りは2年後に返却することで免除される仕組みだ。
これは「残価設定型ローン」と呼ばれる購入形態で、車のリース・残クレと同じ構造。 2年後に端末を返す前提で月々の支払いを圧縮しているため、手元に端末は残らない。
仕組みを知ったうえで「2年ごとに新しいスマホを持ちたい」人には合理的な選択だが、 知らずに選ぶと損をするパターンもある。構造を整理する。
「月1円」の正体:48回払い+返却免除
端末購入プログラムの基本的な流れは次のとおりだ。
- 1
端末を「48回払い」で購入する
例:iPhone 16(定価124,800円)を48回払い → 月2,600円。ここに端末割引が適用される。
- 2
24ヶ月後(25ヶ月目以降)に端末を返却する
返却することで、残り24回分(後半2年分)の支払いが免除される。
- 3
キャリア側は返却端末を中古市場で売却して収益化する
2年後の下取り価格(残価)をあらかじめ設定し、その分を割り引いているのがこの仕組みの本質。
月1円は「端末代の割引額」と「返却免除」の合わせ技
2024年12月の規制で端末割引上限は44,000円(税込)まで。 残り分は返却時の残債免除で実質ゼロにする。「月1円」はこの2つの組み合わせで成立している。
キャリア3社のプログラム比較(2026年3月時点)
ドコモ
「いつでもカエドキプログラム」
au
「スマホトクするプログラム+」
ソフトバンク
「新トクするサポート+」
※ 各プログラムの詳細・条件は変更になる場合があります。契約前に各キャリアの公式サイトで確認してください。
2024年12月の規制改正で何が変わったか
総務省は2024年12月26日に電気通信事業法のガイドラインを改正し、端末割引と返却プログラムに新しいルールを設けた。
| 変更点 | 旧ルール | 新ルール |
|---|---|---|
| 端末割引上限 | 22,000円 | 44,000円(税込) 5Gミリ波対応は60,500円 |
| 返却時の利用料 | 無料 | 最大22,000円 指定機種への機種変更同時なら無料 |
| 36ヶ月以上旧モデル | 割引上限あり | 定価まで値引き可 |
「返却だけ」では最大22,000円かかるようになった
2024年12月以前は端末を返却するだけで残債が無料免除されていたが、改正後は返却だけの場合に最大22,000円の利用料が発生する。次のスマホに乗り換える(機種変更)と同時に返却すれば無料のため、 「この機種の2年後にまた新機種に変える」人には実質影響がない設計になっている。
違約金・解約金はいくらか
2019年10月の電気通信事業法改正以降、通信契約の解約金(違約金)は上限1,100円に制限されている。 キャリアによっては解約金ゼロのプランも多く、「2年縛り」という実質的な囲い込みは以前よりも大幅に緩和された。
| 契約種別 | 解約金の上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 大手キャリアの通信プラン | 1,100円 | 2019年10月以降の新契約 |
| 格安SIM(MVNO) | ほぼ0円 | 多くが解約金なし |
| 端末購入プログラムの途中解約 | 残債の継続支払い | 免除は返却時のみ。解約しても端末代は払い続ける |
重要なのは「通信プランの解約金は安い」が「端末購入プログラムは通信とは別契約」という点だ。 通信だけ解約できても、端末代の残債は残る。格安SIMへの乗り換えと同時に端末を返却すれば残債は免除されるが、 機種変更ではないため上述の22,000円の利用料が発生する可能性がある点に注意。
格安SIMとのコスト比較(2年間)
「結局どっちが安いか」を4パターンで整理した(iPhone 16を想定、2026年3月時点の目安)。
キャリア(月1円プラン) + 端末購入プログラム
端末代
約24円(月1円×24ヶ月)
通信料/月
約6,600円/月(中容量プラン)
返却で手元に残らない
キャリア(月1円プラン) + プログラム不使用(48回完済)
端末代
約6,000〜8,000円/月(iPhone 16の場合)
通信料/月
約6,600円/月
端末が手元に残る
格安SIM(IIJmio等) + 端末は自前購入(中古)
端末代
iPhone 15(中古)一括約80,000円
通信料/月
約1,500〜2,000円/月
端末が手元に残る
格安SIM + 2年ごとに新品iPhone購入
端末代
iPhone 16(新品)一括約124,800円〜
通信料/月
約1,500〜2,000円/月
端末が手元に残る
「2年ごとに新機種」が前提なら、月1円プランは合理的
格安SIM+中古でも、2年ごとに新品を買い続けると総コストは月1円プランと大差ない水準になる。 月1円プランの実質メリットは「常に最新機種を最小の月額で持ち続けられること」。 5年・10年と同じ端末を使い続ける人には格安SIM一択だが、2年サイクルで最新スマホを使いたい人には一考の余地がある。
月1円プランが合わない人・合う人
合う人
- ・2年ごとに最新iPhoneに乗り換えたい
- ・まとまった初期費用を出したくない
- ・端末代と通信料を一本化したい
- ・キャリアの通話品質・カバレッジが必要
合わない人
- ・スマホを3年以上使い続ける
- ・月々の通信費を最小化したい(月2,000円以下)
- ・端末を売却して資産化したい
- ・SIMフリー端末で複数SIM運用したい
契約前に確認すること
- 1
残価率を確認する
キャリアと機種によって残価率が異なる。ソフトバンク50%・ドコモ33.3%・auは機種ごと。残価が高いほど月々の支払いが安くなる。
- 2
端末の状態条件を確認する
画面割れ・水没・バッテリー劣化などがあると査定減額される。返却時に満額免除されないケースがある。
- 3
返却時の「利用料」条件を確認する
2024年12月改正後、返却だけでは最大22,000円の利用料が発生。次機種への機種変更と同時なら無料。「返却だけして格安SIMに移行」は追加費用が出る。
「月1円」という表示は端末代の一部しか表していない。通信料・返却条件・利用料を合わせた実質コストで判断するのが正しい。 格安SIMより高い通信料を2年間払い続けることを理解したうえで、「常に最新機種を最小負担で使い続ける」価値があるかどうかで判断する。
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