手取りはなぜ額面より少ないのか
— 社会人1年目に誰も教えてくれなかった給与明細の構造
2026年4月1日
この記事でわかること
- ✓額面30万円の手取りは約23〜24万円。差額の約6〜7万円は厚生年金・健保・雇用保険・所得税・住民税の5種類
- ✓厚生年金(18.3%)と健康保険(約10%)は労使折半。会社が半分払っているので「自分の天引き額×2」が実際のコスト
- ✓住民税は1年目の6月まで発生しない。2年目以降に急に手取りが減ったと感じるのはこれが原因
内定通知書に書かれた月給30万円。初めての振込日に通帳を見て「あれ、少ない」と思った人は多いだろう。実際に振り込まれるのは23〜24万円程度になる。
差額の6〜7万円は何か。給与明細に並んだ項目を、なんとなく見て終わりにしている人が大半だ。これは「何が引かれているか」を知らずに毎月受け取っている状態を意味する。
5種類の控除の構造を一度理解すれば、手取りの計算もキャリア選択の判断も変わる。
給与から引かれる5種類
天引きされるのは「社会保険3種類」と「税金2種類」に分類できる。性質がまったく異なる。
社会保険3点セット
労使折半(半分は会社負担)・本人の控除は給与天引き
将来の年金・医療・失業給付に直結する「先払い」
税金2種類
所得税は当月収入ベースの概算天引き。住民税は前年所得で6月に確定
年末調整・確定申告で過払い分が戻る可能性がある
額面30万円の場合:何がいくら引かれるか
単身・東京・協会けんぽ・扶養なし・2025年度の概算
| 控除項目 | 月額(本人負担) | |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 約14,985円 | |
| 厚生年金保険料 | 約27,450円 | |
| 雇用保険料 | 約900円 | |
| 所得税(源泉徴収) | 約5,130円 | |
| 住民税 | 約15,000円 | |
| 控除合計 | 約63,465円 | |
| 手取り(振込額) | 約236,535円 |
会社は同額をさらに上乗せして払っている
健康保険・厚生年金・雇用保険は労使折半。自分の天引き額と同額(または近い金額)を会社も国に払っている。月収30万円の社員を雇うコストは、会社側から見ると約34〜35万円になる。
「2年目に手取りが減った」の理由
住民税は前年の所得に基づいて課税される。入社1年目は前年の学生時代の収入がほぼゼロのため、入社後の最初の6月まで住民税が発生しない。
2年目の6月から「特別徴収」として給与から天引きが始まる。額面が変わっていないのに手取りが月1〜2万円減ったと感じるのはこれが原因だ。
| 時期 | 住民税 |
|---|---|
| 入社〜1年目6月 | 0円 |
| 1年目7月〜2年目5月 | 発生なし(前年課税なし) |
| 2年目6月以降 | 月1〜2万円程度 |
厚生年金は「損か得か」ではなく「強制積立」の仕組み
厚生年金の保険料率は18.3%(2025年現在)。標準報酬月額30万円なら本人負担は月27,450円、会社も同額を負担し合計54,900円が毎月積み上がる計算だ。
これは「国に取られる」のではなく将来の老齢年金として戻ってくる原資になる。フリーランスや個人事業主は厚生年金に加入できず国民年金(月16,980円・2025年度)のみになるため、会社員の方が手厚い。
フリーランスに転向すると社会保険コストが上がる
会社員を辞めると厚生年金→国民年金に切り替わり、健康保険も全額自己負担になる。手取りが同じでも、実質的な老後・医療の保障は下がる。フリーランスの「月収」と会社員の「月収」は額面が同じでも意味が異なる。
給与明細で確認すること
- 1.
「標準報酬月額」を確認する。これが健康保険・厚生年金の計算基準になる
- 2.
2年目の6月は住民税天引きが始まるため、手取りが減ることを事前に把握しておく
- 3.
会社が負担している社保分(自分の天引き額とほぼ同額)を足した金額が「総人件費」
- 4.
副業・フリーランス転向を検討するとき、社会保険コストの変化を必ず試算する
- 5.
年末調整で各種控除(生命保険・iDeCo等)を漏れなく申請する
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