iDeCoの受け取り方
— 一時金・年金・分割、税金が最も少ない選び方
2026年3月31日
この記事でわかること
- ✓iDeCoの受取方法は一時金・年金・組み合わせの3択で、税の仕組みがそれぞれ違う
- ✓一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が使える
- ✓退職金と同年受取でも2022年改正で控除を合算できるようになった(5年ルール廃止)
- ✓受取タイミングは60〜75歳の間で選択可能(2022年改正で75歳まで延長)
iDeCoは積立期間中に節税できる制度として知られているが、 「受け取るとき」の税の仕組みを知らないと、積み上げた資産の一部を税金で余分に払うことになる。
受取方法は3種類あり、適用される控除の種類が違う。 退職金との組み合わせ次第で、手取り額が数十〜数百万円変わるケースもある。
選択肢と計算の構造を整理する。
受取方法3択の構造
一時金(退職所得)
退職所得控除が使える
メリット:勤続年数×40〜70万円の控除枠が大きい。税率が低くなりやすい
注意点:退職金と同年に受け取ると控除枠を食い合う(5年ルール・19年ルールあり)
向いている人:退職金が少ない・または受取時期をずらせる人
年金(雑所得)
公的年金等控除が使える
メリット:毎年の公的年金等控除(60〜195万円)に収まれば税額を抑えられる
注意点:他の年金収入が多いと枠を超えやすい。受取期間中に課税される
向いている人:公的年金が少なく、iDeCo年金でも控除枠に余裕がある人
一時金+年金(組み合わせ)
退職所得控除+公的年金等控除の両方を部分活用
メリット:どちらか一方だけでは使い切れない控除枠を合理的に消化できる
注意点:手続きが複雑。受け取り時期の設計が必要
向いている人:退職金とiDeCoの一時金が両方ある・年金受取を長期にしたい人
退職所得控除の計算式と早見表
一時金受取の場合、退職所得控除が「非課税枠」として機能する。 iDeCoの加入年数(拠出期間)を「勤続年数」として計算する。
退職所得控除額の計算式
・勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
・勤続年数20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)
| 加入年数 | 控除額 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
退職所得 =(一時金 − 退職所得控除)÷ 2 で計算する。 控除額以内なら課税所得はゼロになる。
シミュレーション:iDeCo加入30年・一時金600万円の場合
退職所得控除だけで全額カバーできる例
600万円の一時金が控除枠1,500万円の範囲内に収まるため、所得税・住民税ともにゼロ。30年間の掛金控除と運用益非課税に加えて、受取時もゼロ税という理想形。
退職金と合算する場合(注意が必要なケース)
・会社員が同年に退職金2,000万円+iDeCo一時金600万円を受け取る場合
・勤続30年の控除1,500万円を合算した2,600万円に対して適用
・(2,600万円 − 1,500万円)÷ 2 = 550万円が課税退職所得
・550万円の所得税率は20%前後、税額は約90〜110万円になる
→ 退職金が大きい人は、iDeCoを年金受取にして公的年金等控除を活用する設計を検討する
受取タイミングに関する制度ルール
5年ルール(2022年廃止)
iDeCo一時金と退職金一時金の受取間隔が5年未満だと、控除を先に使った分を後の計算から除外するルールがあった。2022年の税制改正で廃止され、同年受取でも合算して控除できるようになった。
19年ルール(現行)
同じ年に退職所得を複数受け取る場合(複数の退職金・iDeCoなど)、それぞれの勤続年数を合算して控除額を計算する。ただし受取間隔が19年以上開く場合は別々に計算できる。
受取開始は60〜75歳
iDeCoの受取開始は60〜75歳の間。2022年改正で上限が70歳→75歳に延長。遅らせるほど運用期間が伸びる反面、受取期間が短くなる。75歳になったら強制受取開始。
年金受取時の控除:公的年金等控除
iDeCoを年金で受け取る場合、受取額は「雑所得(公的年金等)」として扱われる。 公的年金等控除が適用され、一定額まで非課税になる。
| 年齢 | 公的年金等収入 | 控除額 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 60万円以下 | 全額控除 |
| 65歳未満 | 60万〜130万円未満 | 60万円 |
| 65歳以上 | 110万円以下 | 全額控除 |
| 65歳以上 | 110万〜330万円未満 | 110万円 |
iDeCoの年金受取額+公的年金収入の合計が控除枠に収まれば、受取時の税負担はゼロになる。 ただし合計収入が控除を超えると課税される点に注意。
受取方法を選ぶ前に確認すること
iDeCo受取方法を選ぶ3つの確認ポイント
- 1.退職金の有無と金額:退職金が大きいほど一時金控除枠を使い切りやすい。退職金なし・少額なら一時金受取が有利
- 2.iDeCo加入年数:加入年数=退職所得控除の計算基礎。30年加入なら控除1,500万円
- 3.公的年金の受取見込み額:年金控除枠に余裕があるかどうかで、年金受取の有利不利が決まる
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