学生バイトの「いくらまで稼いでいいか」
— 親の扶養控除と2025年改正
2026年4月1日
この記事でわかること
- ✓「103万円の壁」は2025年改正で「123万円の壁」に変わった(給与所得控除65万+基礎控除58万)
- ✓特定親族特別控除の新設で150万円まで親の控除(63万円)が満額維持される。「崖」が「スロープ」になった
- ✓188万円を超えると控除がゼロ。年収700万円の親なら税負担が年約17万円増える(500万円なら約10万円)
学生のとき、バイトで「いくらまで稼いでいいか」を聞いたことがあるだろう。「103万円を超えたらダメ」と言われた人もいるかもしれない。
この上限は「学生自身の税金」の話だと思っていなかったか。実際は違う。学生が一定の収入を超えると、親の税負担が変わる。「扶養控除」と呼ばれる、親が毎年受けている控除がなくなるからだ。
2025年の税制改正でこの構造が大きく変わった。何がどう変わったかを整理する。
「扶養に入る」とは、親の控除の話だった
扶養控除は、子どもを養っている親が受けられる所得控除だ。19〜22歳の大学生がいる場合、「特定扶養控除」として所得税で63万円、住民税で45万円が親の課税所得から差し引かれる。
控除を失うと、その分だけ親の税金が増える。年収700万円の親(限界税率20%)なら、63万円の控除がなくなると所得税だけで約12.6万円、住民税で約4.5万円、合計年約17万円の税負担増になる。
「子どもの収入」は「家族の手取り」に直接影響する
年収700万円の親(限界税率20%)の場合、扶養控除(63万円)を失うと年約17万円の税負担増。年収500万円なら約10万円増。学生が少し多く稼ぐほど家族全体では損という構造が、2025年の改正で変わった。
「103万円の壁」が「123万円の壁」になった理由
従来の103万円という基準は「給与所得控除55万円+基礎控除48万円」の合計だ。 2025年の税制改正で給与所得控除の最低額が55万円→65万円に、基礎控除が48万円→58万円に引き上げられた。65万+58万=123万円が新しい扶養の収入上限になった。
| 項目 | 改正前 | 2025年〜 |
|---|---|---|
| 給与所得控除(最低額) | 55万円 | 65万円 |
| 基礎控除(所得税) | 48万円 | 58万円 |
| 扶養に入れる収入上限 | 103万円 | 123万円 |
「崖」が「スロープ」になった — 特定親族特別控除
2025年に「特定親族特別控除」が新設された。123万円を超えても150万円まで63万円の控除が満額維持される。150万円から188万円の間は段階的に縮小し、188万円超でゼロになる。
改正前は103万円を1円でも超えた瞬間に控除がゼロになる「崖」だった。年収700万の親なら一気に17万円、500万の親なら約10万円の税負担増。学生が少し多く稼ぐほど家族全体では損という構造が、2025年に解消された。
| 子の年収 | 親の控除額 |
|---|---|
| 〜123万円 | 特定扶養控除 63万円 |
| 123万超〜150万円 | 特定親族特別控除 63万円(2025年新設) |
| 150万超〜188万円 | 特定親族特別控除 63万円→3万円(段階的に縮小) |
| 188万円超 | 0円(控除なし) |
「扶養から外れる」のは188万円超から
2025年以降、学生が年収150万円以内であれば親の控除(63万円)は満額維持される。「103万円を超えたらダメ」という情報は古い。
税金の壁と社会保険の壁は別物
扶養控除(税金)の話とは別に、親の健康保険の「被扶養者」でいられる条件がある。こちらは所得税の基準とは異なる。
2025年10月から、19〜22歳の被扶養者については健康保険の扶養認定の年収上限が130万円から150万円に引き上げられた(日本年金機構通知)。税金の壁と社会保険の壁のラインが近づいた形だ。
19〜22歳の学生:2025年以降の壁まとめ
税金・社会保険ともに扶養内。親の控除63万円が満額
特定親族特別控除で親の税控除は63万円のまま。社会保険の扶養も維持(2025年10月〜)
税金の控除が段階的に縮小。社会保険の被扶養者認定が難しくなる
税金の控除がゼロ。社会保険の被扶養者からも外れる
親の年収別:188万円超で扶養を外れたときの税負担増
特定扶養控除63万円(所得税)・45万円(住民税)がなくなった場合の試算。限界税率は給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除適用後の課税所得による概算。
年収400万円(限界税率5%)
約7.7万円増
所得税:約3.2万円増
住民税:約4.5万円増
年収500万円(限界税率10%)
約10.8万円増
所得税:約6.3万円増
住民税:約4.5万円増
年収700万円(限界税率20%)
約17.1万円増
所得税:約12.6万円増
住民税:約4.5万円増
年収1,000万円(限界税率20〜23%)
約17〜19万円増
所得税:約12.6〜14.5万円増
住民税:約4.5万円増
確認すべきこと
- 1.
「103万円まで」は古い情報。2025年以降の基準は「123万円まで」
- 2.
123万〜150万円は「特定親族特別控除」で親の控除63万円が満額維持される
- 3.
150万〜188万円は段階的に縮小。崖ではなくスロープになった
- 4.
188万円超で控除がゼロ。年収700万の親なら年約17万円の税負担増(500万円なら約10万円)
- 5.
社会保険(健康保険の被扶養者)の壁は別。19〜22歳は2025年10月から150万円が目安
- 6.
シフトを増やす前に、親の年収帯と現在の合計収入を確認する
関連記事
あなたの場合はどうか、確認してみませんか?