住宅ローンの年収倍率
— 「年収の5倍まで」は本当か、破綻しない上限の考え方
2026年3月31日
この記事でわかること
- ✓「年収の5倍」はバブル期以前の目安。現在の低金利環境では7〜8倍を借りるケースも多い
- ✓審査基準(返済比率35%)は「借りられる額」であり「返せる額」ではない
- ✓破綻しない目安は手取りベースの返済比率20〜25%以内
- ✓変動金利は2〜3%上昇シナリオでも返済できるか確認が必要
「住宅ローンは年収の5倍まで」という目安は、金利が5〜8%台だったバブル期に使われていた数字だ。 現在の変動金利0.6〜0.8%台の環境では、同じ返済額でも借入可能額は大きく変わる。
問題は、金融機関の審査が通る額と、生活を維持しながら返せる額は別物だということだ。 返済比率35%まで借りられても、そこに管理費・修繕費・教育費・老後積立が乗ると生活は詰まる。
年収倍率より、手取りベースの返済比率で考える方法を整理する。
年収倍率と返済比率の関係(35年・変動0.8%想定)
| 年収 | 返済比率20% | 返済比率25% | 借入額目安 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 月約6.7万円 | 月約8.3万円 | 約2,500〜3,100万円 |
| 500万円 | 月約8.3万円 | 月約10.4万円 | 約3,100〜3,900万円 |
| 600万円 | 月約10万円 | 月約12.5万円 | 約3,800〜4,700万円 |
| 700万円 | 月約11.7万円 | 月約14.6万円 | 約4,400〜5,500万円 |
| 800万円 | 月約13.3万円 | 月約16.7万円 | 約5,000〜6,300万円 |
※ 変動金利0.8%・35年返済で試算。借入額の目安は返済比率20〜25%の範囲。管理費・固定資産税は別途。
シミュレーション:年収500万円・3,500万円借入
年収500万円・変動0.8%・3,500万円・35年
○ 標準的な返済比率。ただし金利上昇・修繕費込みで確認
年収500万円・固定2.25%・3,500万円・35年
△ 返済比率がやや高め。生活費・教育費とのバランス確認が必要
年収500万円・変動2.5%上昇後・3,500万円・残期間
× 金利上昇後は返済比率30%超。修繕費・管理費が加わると生活圧迫
「返済比率20%」が現実的な上限の理由
手取り年収400万円の場合、返済比率20%=月約6.7万円。 管理費・修繕積立金・固定資産税(月合算4〜6万円)を加えると住居費は月10〜13万円。 生活費・教育費・老後積立を残すと、返済比率25%超えは毎月の収支がギリギリになる家庭が多い。
年収倍率だけで考えると見落とす4つのリスク
変動金利の上昇リスク
現在0.6〜0.8%台の変動金利が2〜3%に上昇すると、月返済額は大幅に増加する。4,000万円・30年ローンで0.8%→2.5%に上昇した場合、月返済額は約12.2万円→約15.6万円(約3.4万円増)になる。5年ルール・125%ルールで急激な増加は抑制されるが、元本棚上げが発生する。
管理費・修繕積立金・固定資産税
マンションの場合、毎月の管理費・修繕積立金が2〜4万円かかる。固定資産税は年20〜40万円(月換算1.7〜3.3万円)。ローン返済額だけで住居費を考えると、実際の負担は月5〜7万円上乗せになる。
収入が下がる局面
育休取得・転職・病気・リストラなど、将来の収入が現在の水準を維持できない可能性がある。共働き世帯は片方の収入が止まることも想定する。「最低限、一方の収入だけで返済できるか」が安全基準の一つ。
年収倍率は「借りられる額」であって「返せる額」ではない
金融機関の審査基準(返済比率30〜35%)は「融資可否」の判断であり、生活の余裕を考慮していない。特に子育て世帯・教育費が発生する世帯では、返済比率20〜25%程度が現実的な上限になる。
破綻しないローン額を判断する3ステップ
- 1.手取り月収の20%以内を月返済額の上限にする。額面年収ではなく手取りで計算する
- 2.変動金利は3%上昇シナリオで試算。金利が上がっても返済比率が25%以内に収まるか確認する
- 3.住居費の合計(ローン+管理費・修繕積立金+固定資産税)で月額を計算する。ローンだけで考えない
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