死亡保険の必要保障額
— 家族構成・住宅ローン・社会保障から逆算する方法
2026年3月31日
この記事でわかること
- ✓必要保障額は「遺族の生活費 − 遺族年金 − 配偶者収入 − 資産」で計算する
- ✓団信がある場合、住宅ローン残高は保障額の計算から除外できる
- ✓子どもが独立・退職・団信付きローン契約のタイミングで見直すのが基本
- ✓「とりあえず3,000万円」は世帯構成によって過剰になるケースが多い
「死亡保険はいくら必要か」という質問に対して、 「年収の3〜5倍」「とりあえず3,000万円」という目安が使われることが多い。
しかし、遺族年金・団信・配偶者収入・既存資産を差し引いた後の「純粋な不足額」を計算すると、 3,000万円は過剰になるケースと不足するケースに分かれる。 家族構成・ローンの有無・配偶者の就労状況によって適正額は大きく変わる。
逆算式で計算する方法と、ライフステージ別の見直しタイミングを整理する。
計算前に確認:社会保障で補われる3つの柱
死亡保険で補う前に、すでに社会保障で補填される部分を理解しておく。 これを差し引かずに計算すると、過剰な保険に入ることになる。
遺族年金(遺族厚生年金+遺族基礎年金)
会社員が死亡した場合、配偶者は遺族厚生年金(死亡者の老齢厚生年金の3/4)+遺族基礎年金(子あり)を受け取れる。子ありの場合、遺族基礎年金は年約83万円+子の加算。遺族厚生年金は収入・加入期間によって異なるが月5〜12万円程度が目安。
団体信用生命保険(団信)
住宅ローンを組んでいる場合、団信が付いていれば死亡時にローン残高がゼロになる。「住宅ローン残高全額が必要保障額に入る」という計算をしている人が多いが、団信で実質カバーされるため、死亡保険での二重カバーは不要になる。
配偶者の収入・就労能力
専業主婦(夫)の場合、遺族となった後に働き始めることができるかどうかを考慮する。子どもが小さい間は就労が難しい場合があり、その期間の収入補填が必要になる。
必要保障額の計算ステップ
遺族の生活費を計算する
子どもが独立するまでの期間(仮に20年間)の生活費を試算する。現在の生活費の70〜80%が目安(生活水準をある程度維持する前提)。生活費月25万円 × 12ヶ月 × 20年=6,000万円
遺族年金の受取見込みを差し引く
遺族厚生年金+遺族基礎年金(子ありの場合)の受取合計を差し引く。月10万円(年120万円)× 20年=2,400万円を差し引く
配偶者の収入を差し引く
配偶者が働ける場合、その収入見込みを差し引く。月15万円 × 12ヶ月 × 20年=3,600万円(ただし子育て中の就労制約を考慮して減額)
ローン残高・教育費を加算する
団信なしの場合はローン残高を加算。子どもの教育費(大学まで公立で約600万円、私立混在で1,000万円超)を加算する
既存の金融資産・保険を差し引く
預貯金・投資資産・会社の死亡退職金・既存の生命保険金を差し引く
計算例:35歳・会社員・配偶者(専業主婦)・子1人(3歳)・住宅ローン残高2,000万円(団信あり)
| ①遺族の生活費(20年間、月23万円想定) | 5,520万円 |
| ②遺族年金(月9万円×20年) | ▲2,160万円 |
| ③配偶者収入(就労5年後・月12万円×15年) | ▲2,160万円 |
| ④教育費(大学まで私立混在) | +1,200万円 |
| ⑤住宅ローン残高(団信でカバー) | 0円 |
| ⑥既存の預貯金・資産 | ▲300万円 |
試算の結果:必要保障額 約2,100万円
このケースでは「3,000万円の定期保険」より「2,000〜2,500万円の定期保険」が適切な保障額になる。定期保険(10〜20年満期)でこの金額をカバーし、子どもが独立したら解約・減額するのが合理的な設計。
ライフステージ別:見直しのタイミング
| イベント | 見直しのポイント |
|---|---|
| 結婚 | 配偶者が生まれたことで遺族年金の受取資格が発生。独身時より保障額を設定する |
| 子どもが生まれた | 遺族基礎年金(子の加算)が加わるが、教育費・養育費の負担も増える。最も保障が必要な時期 |
| 住宅ローン契約 | 団信が付いていればローン残高は保障額から除外できる。不要な重複保険を削減できるタイミング |
| 子どもが独立 | 子の養育費・教育費の必要がなくなり、必要保障額が大幅に下がる。保険料の削減を検討 |
| 60代・退職前 | 退職金・年金で老後資金が整ってくる。死亡保険は大幅に減額または解約を検討 |
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